雑食思想の溜め池

生活していれば自然と湧き出て来る思いの数々。ここは、ぼくの中でゲシュタルト形成や拡張へ向けて流れ着いた、様々な興味の源泉からの思想が集う場所である・・・。と意気込んで始めたものの、だんだんとその色が薄くなってきました。

どっちが店員さん?

食堂のレジ繋がりで、もう一つのお話を。
かの有名なSOMバーガー(仮名)に細君と二人で行きレジで注文したときのことです。
その日は食事のタイミングが中途半端ということもあって、
分量的にいろいろと考えるところがあり、いろいろ組み合わせを考えた末、
2人でいろいろと分け合って食べるということにしました。
つまり、単にセットを2つ注文するのではなく、
一つのLサイズセットに単品を組み合わせて注文しようというわけです。
そしてそれはセットを2つ頼むよりは安くなるはず。
だいたい1100円ぐらいになる見積もりでした。
 
さてレジには研修中のバッジをつけた笑顔が素敵なお姉さんが一人待ち構えています。
「いらっしゃいませ。店内でお召し上がりですか?」から始まる一連の流れで、
できるだけ整理して注文します。研修中の店員さんなのでこちらも頭を使ったというわけです。
「◯◯のLサイズでサラダとのセットを1つ・・・単品でSのアイスティー・・・」
と欲しいものを列挙すると、おぼつかない手つきでレジに打ち込みます。そして
「1680円になります」とのアナウンス。(何かが違う)
「えっと、何かが違うと思うんだけど」と率直に思ったことをいうと
もう一度打ち直します。しかしまた同じ答えが出たようでした。
その様子からどうやらセットを2つとセットの選択肢となっているものまで、
すべてを合計していたようでした。
そのお姉さんの笑顔はそのままで、フリーズしてしまいました。
新人さんには少しややこしい注文内容かなと思いながら
とりあえずモンスターカスタマーと思われたら心外なので、
こちらも笑顔を浮かべて
もう一度ゆっくりと注文を繰り返します。
するとお姉さんもオウム返しします。
途中からその反応が鈍くなってきます。
表情には出ていないけれど、確実にテンパっていると思ったところで
横から細君が登場です。
物事をスパッと整理して会話する達人は、状況をサッと判断して
どちらが店員か分からないやり取りの末注文を完遂させました。
 
さてそのお姉さんの中で何が起きていたかを分析してみると
ぼくらとしては、こちらがよかれと思って「整理した」内容を、
さっさと無駄なく言ったつもりでしたが
どうやらレジスターの関係上、抱き合わせて注文できないものを組み合わせようとしていたり、
また、レジ係の子が教えてもらった受注の仕方と
違う順番で言われたためパニクってしまったようでした。
 
そこで細君がとった行動は、どんな順番で注文して欲しいのか、
レジに入力することになっている順番をレジの子に訊きながら、
注文を受けてもらったのでした。
 
(ある意味つづく…)
 
 

丼な計算?

とある勉強会の昼休みに行ったある丼ぶり屋の「きらい家」(仮名です)での話です。
他に3人の方と席に着き、ぼくは並の牛丼(320円)、ぼくの他にKさんも同じく並の牛丼、そして残りのお二人は正確には忘れてしまいましたが、別種類の丼物を注文しました。
仮にキムチ牛丼としておきましょう。
機嫌よく食事が終わるとお会計です。
そのお店は後払い形式なので、注文時に受け取る伝票を持ってレジに行きます。
まあ、四人が同じテーブルということもあり伝票は一つでした。
Kさんが伝票を持って先頭をきってレジに進みます。残りの3人も後に続きます。
そしてレジ係に伝票を渡しながら
「並の牛丼です。あ、別々でお願いします」
と言いました。
ここまでの流れに不思議なことは何もないと思います。
とても家族には見えない大の大人が四人。
この発言を聞いた人は普通に、ああこの人達は個人で支払いたいんだな、と思うのが普通ではないでしょうか。
レジ係は答えます。
「640円です」
その思いもよらぬ数字の根拠を求めてぼくの頭が回転をはじめました。
もちろん伝票を差し出したKさんも「・・・」のように一瞬その場に沈黙がありました。
Kさんは伝票の一ヶ所を指差して
「これです。この牛丼です」
レジ係は慌てた風でもなく涼しい顔で
「320円です」・・・ああ、そうですね。
はい。
問題は解決です。
先頭のKさんは納得されたご様子で立ち去りました。
しかし、ぼくの頭中ではまだその数字(640円)の計算式を探していました。
そしてすぐに思い浮かびました。
640=320x2という計算式です。
では、いったいなぜそんな数字を答えたのでしょうか。
ここから先は想像ですが、
そのレジ係が告げた数字は、並の牛丼(320円)2つ分の値段です。
「別々に」と聞いて、出した答えは注文された「メニュー別」の値段だったのではないでしょうか。
並みの牛丼x2+キムチ丼x2
そして「別々に」会計といったKさんに並の牛丼二つ分を請求。
メニュー別に会計をする場面に出くわしたことありますか?
ぼくは、そのレジ係がなぜそのような分類をしたのかが
不思議でなりません。
もしかしたら別の値なのかもしれませんが、
そのとき四人が注文したメニューのすべての値段を足したら640円では少なすぎるし、どのように組み合わせても320x2以外には640にはならないのです。
やはりメニュー別に合計されたのでしょうか。
いったいどんな計算をしたのか…。
この問題はぼくの中では迷宮入りしています。

DIY:読書/パソコンスペース

細君からの注文を受けて約2週間…。少しずつ考え始めてやっと形になりました。

形は、壁についたカウンターのような机。それは決まっていましたが、どうやって設置するかです。壁や天井に何かをするというのは、結構面倒なんですよね。何が面倒かって、ねじやら釘やらを打ち付けられる梁などがどこを走っているかを正確に知る必要があるからです。壁が分厚いソリッドの木材だったら何の問題もないのですが、うちの壁は石膏ボードです。下地がないところに打てば文字通り「糠に釘」「豆腐に鎹」状態。「石膏ボードにネジ」です。そこで活躍するのが下地センサーなるもの。 

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下地センサー

 こういうものなんですが、便利ですね。これを買うまでは壁をコツコツ叩いたりして音の高低であたりを付けてギャンブル的に穴をあけたりしてましたが、これがあれば2発で分かります。横にある黄色い「スタートボタン」を押して緑色の「準備OK」ランプが点灯すればそこからスタートします。

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準備OK

そこから横にずらしていき、下地が近づいてくると徐々に矢印が移動していきます。

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下地接近①

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下地接近②

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下地接近③

そして、ピピピーという音とともに壁に矢印が投影されて、下地が始まるところを教えてくれます。

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下地到達

そこに印をつけ、次に逆側からも同じようにして動かしていきピピピと鳴るところに印をつければ、どのくらいの幅の下地があるかがわかるという代物です。

 

 

このモデルはさらに電線センサーもついているので、コンセントに繋がる電線などを傷付ける心配もありません。もしもそういう機能が必要なければ、下の赤いモデルでも行けます。少し安いです。 

 

そんなセンサーを使って下地を見つけたら、ちょうどよい高さにするにはどこに打ち付けたらいいかを考える必要があります。ちょうどいい高さに下地があるとは限りませんからね。しかし机の希望の高さはあるので、縦と横に走る下地のどこにどうやってネジで締め付けるか考えるのに2週間ぐらいかかったってわけです。

それでできあがった机がこんな感じ。ま、棚みたいなものですね。壁はレンガの柄をした壁紙です。なかなかリアルですよね。実際に見てもリアルですよ。我が家は賃貸ですがDIYがOKの物件だったので引っ越してきたときに自分たちで貼りました。

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棚/机

少し窪んだ一人用読書/パソコンスペース。

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読書/パソコンスペース

下は衣装ケースで、その上に廃材を衣装ケースの大きさに切って乗せ、さらにこの上にタロウのしっこ防止シートやら緩衝材的なものを敷いていくので、色は関係なし。この廃材も元々は上の方が狭まった本棚で、それを一度バタフライテーブルに改造しましたが、それも需要がなくなり分解されてしばらく経ったもの。バタフライテーブルの写真も撮ったと思ったんですが、見当たらないのが残念です。

メモリー増設を倍(8GB+8GB)にしてよかった

ぼくのPCにメモリーモジュールを増設してみました。もともと8GBあったところに8GB追加したのですが、サクサクと動き始めました。

購入したのは5年程前でしょうかね、このdynabookの動作が遅くなる時がたまに出てきました。このPCはCPUがCore i7でメモリー8GBですが、インターネットのブラウザにChromeを使っているせいか、タブを10個ぐらい開いてエクセルを3枚ぐらい開いて作業するとちょっと動作が遅くなる時があるのです。今までは、理由もテキトーにただ古くなってきたからかなと思っていましたが、タスクマネージャーで使用状況をモニターできることを知り、見てみました。そしたらメモリーを90%以上使って作業していることが多いことを知り、動作が遅いのはこのせいじゃないかと考え初め、メモリーを増設することを思いついたのでした。

次にどのくらい増設したらいいのか?4GBという選択肢もあったので、現状8GBでギリギリなら12GBあれば充分かな?それに、もうこのPCも結構古いのでそんなもんでいいかなとか思っていましたが、8GB追加して今の倍になれば、もっといろいろやれることが増えるかなと、8GB追加することにしたのです。

いざ追加してタスクマネージャーでモニターしたら、同じように使っていて、もう8GBを超えているではないですか。もしかしたら、90%ぐらいのときはPCがフリーズしないように自動的に制御していたのかなと思いました。本当は8GBぐらいのメモリーが必要なのに、メモリーがない、だから10%ぐらいの余裕を持って動作させていたため遅くなっていたということなんですかね?これを見たとき、4GBだけの増設じゃなくてよかったと思いました。PCに余裕を持たせて動作してもらった方が負荷も減るんじゃないかと勝手に思っています。

今回はCFDというメーカーのメモリーを買ってみました。他のもっと高価なメーカーもありましたが使ってないので、どういう違いがあるのかわかりませんが、永久保証もついてますので、コスパ的には十分なんじゃないでしょうか。

 

 

英文解釈の基礎は情報構造にあり(その4:情報構造ゆえの意味の違い)

情報構造ゆえに生じる微妙な意味の違い

ここでは、文章を読むにあたり理解に苦しむことはないであろうことがらや、文章を書く上で特に気にしていなかったであろう事柄も、実は情報構文のルールに基づいて検証すると微妙に意味が異なっているというケースについて見てみます。つまり実は本意とは微妙に異なる内容を発信していたかもしれないという例を挙げてみます。

前回の話が気になる方はここで↓チェックを。

 

omoi-tameike.hatenablog.jp

 

いわゆる第4文型

書き換え問題として、同じ意味とされるが、真意は異なる。
① I sent her a letter.  (her: 既知情報、a letter: 新情報)
  彼女に何を贈ったかが重要な点

② I sent a letter to her.  (a letter: 既知情報、her: 新情報)
  手紙を誰に送ったかが重要な点

主節と従属節の順序

主節と従属節といっても常に主節に重点が置かれているわけではない。

文の構造が<主節→従属節>の語順であれば、従属説に重点が置かれる。
The fireworks contest begins when all ambient lights are put out all at once. 

(花火大会が始まるのは、周りの照明が一斉に消灯されたときである。)→「花火大会が始まるのはどういうときか」に焦点が置かれている。

逆に従属節のWhen以下を前に出して
When the ambient lights are put out,..., fireworks contest begins.

とした場合、重点は主節の「~のとき何が起こるか」ということに焦点が置かれる。

 

それでは、その他の従属節の例を見てみましょう。

Because節の順序

① I didn't pick up your call because I was handfull with my tasks.
(君の電話に出なかったのは、することで手一杯だったからだ。)

電話に出なかったことが周知の事実で、その理由が何かに重点がある

② Because I was handfull with my tasks, I didn't pick up your call.
(することがあり過ぎて、君からの電話に出られないことになった)

することがあり過ぎることはお互い分かっているが、それが原因で、どうなったかに重点が置かれている。

Becauseとsinceの原則

英語に慣れてくるとbecauseもsinceも無意識に同じように使ってしまうのではないかと思いますが(ぼくはそうでした)、それらの用法にも根本的な違いがあるようです。

■because + 新情報
■since + 既知情報

よって、上記の②ではsinceを使うことが好ましいとするネイティブスピーカーがいます。

まとめ

いかがでしょうか。今回、ここで使った例文は短かかったのでその効果をあまり感じることができなかったかもしれませんが、比較的長い文章や情報が詰まった文章でも読み返す必要のない文章は情報が「既知」から「新」へ上手に流れているのかもしれません。

特に知らなくても意思疎通に大きな不都合はない部分もあるとは思いますが、日ごろ何となく引っかかっていた人にとっては、つっかえていたことがスーっと理解できるようになるところも多いかと思います。

情報構造については、まだまだ書き足りないことはありますが、今回はとりあえず、これで一旦終了ということにしたいと思います。 紹介したいと思っていた本は他にもあったのですがまた別の機会にしようと思います。

 

英文解釈の基礎は情報構造にあり(その3:転倒文のパターン)

転倒文のパターン

それでは情報構造ゆえの転倒文がどういった形で現れるかを見てみます。

前回の話が気になる方はこちらからどうぞ↓
omoi-tameike.hatenablog.jp

 

OSVとなる場合(Oが既知情報)

Music is border-less, and many other forms of art share the same characteristics. These characteristics we usually take for granted.
(音楽に国境はない。そして他の多くの芸術においても同じ性質を共有している。こうした性質を我々は当然のように考えている。)

こんな文章が来たら、目的語と主語が並ぶわけなので、この概念を知らないと関係代名詞のthat/whichが省略されているのか?とか思って考え始めて力尽きるわけですね。

CVSとなる場合(Sが新情報)  CなのはSだ。

As difficult as the speaking of foreign language is thinking things in non-native language.
(外国語を話すことと同じぐらい難しいことは、母国語ではない言語で物事を考えることだ。)

これもこの文章よりも前に外国語で話すことが難しいということを話題にしているからこういう書き出しが成り立つんですね。この並びは、形容詞句からスタートしてbe動詞が現れるので、そこで違和感を感じるんですが、文章が長くなければ雰囲気で意味が分かるって感じですかね。しかしこれが情報構造によるものだと知ったときのスッキリ感はなかったですね。

Doing VS<進行形>(Sが新情報)  ~しているのはSだ

Drinking coffee there is my ex-wife.
(あそこでコーヒーを飲んでいるのは、私の前妻だ。)

パッと見はthere is構文かと思ってしまうのですが、じゃあSittingは何?ということになるんですね。

My ex-wife is drinking coffee there.を転倒させたとは思いもよらないのです。

P.P. be S <受身> (Sが新情報)  ~されているのはSだ。

Especially needed are new places for professional ballplayers who received notice of non-inclusion of the team.
(特に必要とされているのは、戦力外通告を受けたプロ野球選手の新たな居場所である)

Especially needed thingのthingが省略されてるのかなとか都合よく考えてしまいがちですが、new places are neededを転倒させているんですね。そして前から訳し下すと、運よく図らずも新情報を正しく強調した訳になるんですね。

There is 構文 (新情報を文頭に出すことを避ける表現)

この表現方法は、ある事柄を話題に上げるとき、それについて前もって両者で共有している情報がないと発信者が思っているときに使われるのだと思います。

There is a pen on the table.  (〇)

「机の上にものがあります。それはペンです。」どちらかというとモノがあるシチュエーションに焦点が合っているという感じですかね。

A pen is on the table.    (✖)

それに比べ、この文章は初めからペンを見ていて、「ペンがあるぞ。そのペンはテーブルの上にあるぞ。」とでも言っているかのように聞こえるのではないでしょうか。その場合ペンは新情報とは言い難い状況にあるのでしょう。

ご自身で学習をしたい方は是非読んでみてくださいね。

 

次は、文章を読むうえで、理解できないわけではないが、情報構造が関係しているという事実に関して説明したいと思います。

つづく

 

英文解釈の基礎は情報構造にあり(その2:既知情報と新情報)

情報構造とは?

前回、「わかりにくい英文だ」と思われていた文章が、実は情報構造に則って書かれた転倒文である場合、それは情報発信者の優しさだと書きましたが、情報構造とは何でしょうか。

 

omoi-tameike.hatenablog.jp

 簡単に言うと

「既知情報」を文章の書き初めに導入として置く。
「新情報(重点情報)」はできるだけ後ろに置く。

という文章の作り方です。
それは、文章を書いたり話したりする際に、情報がお互いに共有済みのことであるかないかによって、文章の要素となる情報を並べ替えるということです。

因みに、語順が入れ替わる別の文体として倒置文がありますが、倒置文で語順が変わるのはこの情報構造とは異なった理由で語順を入れ替えているので、少し分けて考えた方がいいと思いますが、いずれにせよ、読者を惑わすものではなくスムースに内容を理解するものと考えると、転倒文に出会って「わかりやすい文章を書け!」という気持ちは抑えられるのではないかと思います。少なくともぼくはそれで心は落ち着いています。

英文の常識

英語には助詞がないため、構造(SVOという基本的な語順)が重要であるというのはよく言われることだと思います。
どういうことかというと、文章の中で、動詞の前にあるのが主語で後ろにあるのが目的語であるということがルールとなっていてそれをみんなが共有しているということです。

この基本の裏側には何があるかと言うと…

ここで主語とは何であるかを改めて考えると、テーマや話題ですよね。何についてこれから表現するかを提示しているのが主語ですよね。
だから、”I am..."とくれば、これから自分のことを書くんだな、"You are..."とくれば、これから聞き手のことを書くんだな、と受け手側がわかるわけです。
"I"とは発信者、"You”とは受信者であることは言わずと知れた「既知情報」だから成せる技なわけです。

"Japan is..."と言われたら、「日本」が国の一つであるということを知識として共有している人の間では「既知情報」と言えるわけです。
そして、"is"の後ろに来るものが、発信者が言おうとする「新情報」なわけです。

「既知情報」→文章の書き始めに導入として置く
「新情報(重点情報)」→なるべく後ろに置く

つまり「主語-動詞-目的語」の順序はそういうことが基礎となっている構造なのです。

それゆえに起こってしまうこと
それは、ある文章を書くときに、文章の要素的に、目的語になる情報が「既知情報」で主語になるのが「新情報」である場合、そこに構造的に矛盾が生じるわけです。

語順転倒→主語が長いから転倒するのではない

(この辺でお断り事項として、ここで出している例文は英語ネイティブではないぼくが言いたいことを説明するために作った文なので、完璧ではないかもしれません。)

例えば、次のような文章に出くわした場合、

With the emergence of Beatles came a new music era.

発信者は、ここには書かれていない前文のどこかで"the emergence of Beatles"についての記述をしており、受信者がそれを「既知情報」として認識していることがわかっているために前に出し、"a new music era"を「新情報(重点情報)」として提示したいと思っているのです。

もう少し具体的な想定をすると、この文章の前で筆者はビートルズのメンバーが誰だとか、どんな音楽を演奏していたとかの議論をしていて、そんなビートルズの音楽は今までになかったという「音楽の新しい時代」の幕開けだという風に議論を展開しようとしているということが考えられます。

ここで重要なのは単文として

A new music era came with the emergence of Beatles.

というのはもちろん普通の語順の文章として成り立ちますが、発信者と受信者間における情報の流れ的に"a new music era"が新情報となるために後置されたということです。そして後置されたことで、受信者はそれが重点情報なのだということを認識できるのです。
そして、主語が後置されていることは、文章が前置詞句で始まるという普通のルールに則っていないということからわかるわけです。言い換えると情報発信者はそうやって受信者に分からせているわけです。
そういう意味で、転倒文により発信者が言いたいことがよりスムースに伝達されやすくなるわけです。

よく、「主語が長い時後置される」などの説明がなされていることがあると思いますが、それは多くの新情報を主語に詰め込もうとしたためだとぼくは思います。そして、既知情報はそれより前の文章や段落で書かれていることから、itやtheseなどの指示代名詞で受けることができるために、短くなる傾向にあると思います。

ではこの文章が転倒文であるということにどうやって気付けばいいのか?

それは品詞分解して、普通のSVO文章じゃないと判断するところから始まります。前置詞から始まり、その前置詞句が動詞の直前まで続くので、動詞の前に主語がないことになります。

ということは、逆に何の前置きもなく、とつぜん

With the emergence of Beatles came a new music era.

と転倒文で言われたら、それはルール違反というか、さすがに受信者を惑わすことになると思います。もしくは唐突感を与えることになるのだと思います。

…といったことがこの本↓で説明されています。上記はそこにぼくなりの解釈を加えております。

 

 

 

では次は転倒文となるいくつかのパターンを説明していきたいと思います。

つづく