転倒文のパターン
それでは情報構造ゆえの転倒文がどういった形で現れるかを見てみます。
前回の話が気になる方はこちらからどうぞ↓
omoi-tameike.hatenablog.jp
OSVとなる場合(Oが既知情報)
Music is border-less, and many other forms of art share the same characteristics. These characteristics we usually take for granted.
(音楽に国境はない。そして他の多くの芸術においても同じ性質を共有している。こうした性質を我々は当然のように考えている。)
こんな文章が来たら、目的語と主語が並ぶわけなので、この概念を知らないと関係代名詞のthat/whichが省略されているのか?とか思って考え始めて力尽きるわけですね。
CVSとなる場合(Sが新情報) CなのはSだ。
As difficult as the speaking of foreign language is thinking things in non-native language.
(外国語を話すことと同じぐらい難しいことは、母国語ではない言語で物事を考えることだ。)
これもこの文章よりも前に外国語で話すことが難しいということを話題にしているからこういう書き出しが成り立つんですね。この並びは、形容詞句からスタートしてbe動詞が現れるので、そこで違和感を感じるんですが、文章が長くなければ雰囲気で意味が分かるって感じですかね。しかしこれが情報構造によるものだと知ったときのスッキリ感はなかったですね。
Doing VS<進行形>(Sが新情報) ~しているのはSだ
Drinking coffee there is my ex-wife.
(あそこでコーヒーを飲んでいるのは、私の前妻だ。)
パッと見はthere is構文かと思ってしまうのですが、じゃあSittingは何?ということになるんですね。
My ex-wife is drinking coffee there.を転倒させたとは思いもよらないのです。
P.P. be S <受身> (Sが新情報) ~されているのはSだ。
Especially needed are new places for professional ballplayers who received notice of non-inclusion of the team.
(特に必要とされているのは、戦力外通告を受けたプロ野球選手の新たな居場所である)
Especially needed thingのthingが省略されてるのかなとか都合よく考えてしまいがちですが、new places are neededを転倒させているんですね。そして前から訳し下すと、運よく図らずも新情報を正しく強調した訳になるんですね。
There is 構文 (新情報を文頭に出すことを避ける表現)
この表現方法は、ある事柄を話題に上げるとき、それについて前もって両者で共有している情報がないと発信者が思っているときに使われるのだと思います。
There is a pen on the table. (〇)
「机の上にものがあります。それはペンです。」どちらかというとモノがあるシチュエーションに焦点が合っているという感じですかね。
A pen is on the table. (✖)
それに比べ、この文章は初めからペンを見ていて、「ペンがあるぞ。そのペンはテーブルの上にあるぞ。」とでも言っているかのように聞こえるのではないでしょうか。その場合ペンは新情報とは言い難い状況にあるのでしょう。
ご自身で学習をしたい方は是非読んでみてくださいね。
次は、文章を読むうえで、理解できないわけではないが、情報構造が関係しているという事実に関して説明したいと思います。
つづく