情報構造ゆえに生じる微妙な意味の違い
ここでは、文章を読むにあたり理解に苦しむことはないであろうことがらや、文章を書く上で特に気にしていなかったであろう事柄も、実は情報構文のルールに基づいて検証すると微妙に意味が異なっているというケースについて見てみます。つまり実は本意とは微妙に異なる内容を発信していたかもしれないという例を挙げてみます。
前回の話が気になる方はここで↓チェックを。
いわゆる第4文型
書き換え問題として、同じ意味とされるが、真意は異なる。
① I sent her a letter. (her: 既知情報、a letter: 新情報)
彼女に何を贈ったかが重要な点
② I sent a letter to her. (a letter: 既知情報、her: 新情報)
手紙を誰に送ったかが重要な点
主節と従属節の順序
主節と従属節といっても常に主節に重点が置かれているわけではない。
文の構造が<主節→従属節>の語順であれば、従属説に重点が置かれる。
The fireworks contest begins when all ambient lights are put out all at once.
(花火大会が始まるのは、周りの照明が一斉に消灯されたときである。)→「花火大会が始まるのはどういうときか」に焦点が置かれている。
逆に従属節のWhen以下を前に出して
When the ambient lights are put out,..., fireworks contest begins.
とした場合、重点は主節の「~のとき何が起こるか」ということに焦点が置かれる。
それでは、その他の従属節の例を見てみましょう。
Because節の順序
① I didn't pick up your call because I was handfull with my tasks.
(君の電話に出なかったのは、することで手一杯だったからだ。)
電話に出なかったことが周知の事実で、その理由が何かに重点がある
② Because I was handfull with my tasks, I didn't pick up your call.
(することがあり過ぎて、君からの電話に出られないことになった)
することがあり過ぎることはお互い分かっているが、それが原因で、どうなったかに重点が置かれている。
Becauseとsinceの原則
英語に慣れてくるとbecauseもsinceも無意識に同じように使ってしまうのではないかと思いますが(ぼくはそうでした)、それらの用法にも根本的な違いがあるようです。
■because + 新情報
■since + 既知情報
よって、上記の②ではsinceを使うことが好ましいとするネイティブスピーカーがいます。
まとめ
いかがでしょうか。今回、ここで使った例文は短かかったのでその効果をあまり感じることができなかったかもしれませんが、比較的長い文章や情報が詰まった文章でも読み返す必要のない文章は情報が「既知」から「新」へ上手に流れているのかもしれません。
特に知らなくても意思疎通に大きな不都合はない部分もあるとは思いますが、日ごろ何となく引っかかっていた人にとっては、つっかえていたことがスーっと理解できるようになるところも多いかと思います。
情報構造については、まだまだ書き足りないことはありますが、今回はとりあえず、これで一旦終了ということにしたいと思います。 紹介したいと思っていた本は他にもあったのですがまた別の機会にしようと思います。