雑食思想の溜め池

生活していれば自然と湧き出て来る思いの数々。ここは、ぼくの中でゲシュタルト形成や拡張へ向けて流れ着いた、様々な興味の源泉からの思想が集う場所である。

オイルの話ートランス脂肪酸とは?飽和脂肪酸とは?オメガ3?アマニ油がいい?ココナッツオイルは?

体に良いオイルとはどんなオイル?

最も身近なオイル

おそらく世の中で最も身近な食用オイルはいわゆる「サラダ油」でしよう。昨今アマニオイルやオリーブオイル、ココナッツオイルが注目を浴びていますが、どういうことなのでしょうか。簡単に言えば「体に良い」ということを理由にあげていることと思います。ではどういった理由で体に良いのでしょうか?

ぼくもそんな疑問を抱いて調べてみました。インターネットで大概のことはわかりますが、書籍からも情報を得て自分なりの疑問を解消してみました。解消できない部分ももちろんありますが、それはそれとして置いておくしかありませんが、基本的には理解できましたので記事にしたいと思います。

下記の書籍を参照しました。

 


 


 

ココナッツオイルやオリーブオイル、アマニオイルが「体に良い」と言われる理由

これら二つのオイルの「良さ」は異なります。まずココナッツオイルは油の分類でいう飽和脂肪酸(常温で固形)に属し、比較対象されるのが動物性油脂のバターです。ココナッツオイルは比較的エネルギーに変換しやすいという点で、体内に蓄積されにくいために良いとされています。

そして後者の二つは不飽和脂肪酸(常温で液体)に属し、基本的には人体に悪影響を及ぼすとされるトランス脂肪酸がかかわっています。トランス脂肪酸はそもそも人間の体には必要ありませんが、無意識のうちに摂取してしまっていることが多い脂肪酸なのです。そんなトランス脂肪酸も、ある一定量までであれば問題ないのですが、その量を超えると悪さを始めます。その一定量というのは、WHOは総エネルギー摂取量の1%未満と定めており、一般的な脂質の摂取が多い国ではトランス脂肪酸に対する制限などが厳しい一方、脂質の摂取量が比較的少ない日本ではあまり大きく取り上げられていません。しかし昨今では日本でも食事が欧米化してきていることもあり、実際に脂質を多く摂取する人も増加傾向にある中、そういった人に対してトランス脂肪酸の摂取を抑えることを助けるうえで、オリーブオイルやアマニオイルが注目を浴びてきていると言えます。

オイルを分類する上で大切なのが脂肪酸の含有量で、下記に説明するそれぞれの脂肪酸が単体でそれぞれのオイルに含有されているわけではなく、その比率が一番多いものやそういった性質のものに分類されると考えた方が正しいようです。つまり以下で説明する例えば「オメガ6のオイル」といっても、オメガ3やオメガ9の脂肪酸も多少なりとも含まれているのです。あくまでもオメガ6の脂肪酸が一番多く含まれたオイルだということを念頭に置いて読み進めていただきたいと思います。

それゆえそれぞれのオイルは性質や作用が全く異なりますが、まずはそんなトランス脂肪酸の概略から始め、オイルの分類についてご紹介します。それらを踏まえたうえで何が良くて何が悪いのかを考えてみたいと思います。

ぼくなりの結論を早く知りたい方は、以降を飛び越えて「まとめ」に行っていただけたらと思います。

トランス脂肪酸を知ろう

トランス脂肪酸の生成

ではまず、人間には不要なトランス脂肪酸とはどういったものなのか見てみましょう。トランス脂肪酸は牛やヤギの肉や乳の脂肪に数%、天然の植物の脂肪の中にも少量存在します。さらにトランス脂肪酸は植物油や魚油に人工的に水素を付加して硬化させた硬化油を製造する過程で大量に生成されます。硬化油とは、マーガリン、ショートニングファットスプレッドというものです。つまりそれらには大量なトランス脂肪酸(数%から数十%)が含まれていることになります。昨今では製造者も意識的になっているため以前よりは少なくなってきているとはいえ、やはり含まれてしまいます。さらに重要なことはオイルを高温処理したり、特に電子レンジで加熱する(マイクロ波加熱)することでも生成されます。そんなトランス脂肪酸は調理された食品では脂肪の最大60%を占めると言われています。

トランス脂肪酸の悪いところ

脂肪と言うと一般的には悪いものと捉えられがちかと思いますが、脂質は人間が必要とする大切な栄養素である上、種類がいろいろあり、バランスよく摂取する必要があります。しかしトランス脂肪酸は不必要なうえ、摂取量が上述の総エネルギー摂取量の1%を超えて増えると、そのバランスが崩れ、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)がHDLコレステロール(善玉コレステロール)より増えてくるため、人間の体の細胞膜、特に脳や神経や血管の細胞膜が、にせの脂に置き換えられ、栄養素や老廃物などの物質の出入りを正しく行えなくなり、結果的にがん、うつ、認知症動脈硬化、肺炎、脳卒中などの病気を引き起こすとされています。つまり、脂肪は、それ自体が体を攻撃するウイルスや病原菌、発がん性物質のように「体に悪い」という意味ではなく、体の構造体の強度に大きく影響するという意味での良し悪しなのです。

そんなトランス脂肪酸に対抗するために

つまり日々の生活で肉や揚げ物といった脂質の多い欧米食を気にせず多く摂っている人はトランス脂肪酸を多く摂っている可能性が高くなるので、脂質の摂取量を自分でコントロールできるところでは意識的にできるだけトランス脂肪酸を生成しないオイルを使った方がいいということになります。

どんなオイルがトランス脂肪酸と縁遠い?

そこでトランス脂肪酸をあまり摂取しないために、できるだけトランス脂肪酸とは縁遠いオイルが理想となります。先ほども書きましたが天然物を除きトランス脂肪酸が生成されるタイミングというのは大きく3つあり、

  1. オイルの製造時
  2. 調理時
  3. 電子レンジ加熱時

です。

オイルの製造時

ということで、一つ目に大切なのはオイルの製造過程で熱が加えられているか否かという点になります。植物の種から油脂を抽出する際、より効率的に多く採るために高温の熱を加えることがほとんどで、その時に生成されてしまいます。そんなオイルを避けるには「コールドプレス加工」で製造されたオイルが安心です。ただコールドプレス加工には製造費用が掛かるため、安価にオイルを提供したいオイルメーカーではその加工法を採用することが少ないですが、ラベルにしっかりと表記されているので、注意して見て見てみてください。そういう意味でサラダ油は特に明記されていない限り加熱処理されているため、含有割合には差がありますがトランス脂肪酸が多く含まれていると思われます。

調理時

そのようなオイルを調理時にさらに加熱すればさらにトランス脂肪酸が増えていくことになります。またせっかくコールドプレスされたオイルも加熱してしまえば、そのオイルを選んだ意味が全くありません。つまりフライパンで炒めたり揚げたりするときに生成されるわけです。ここまで熱を加えられなかったオイルを待ち構えているのが、そういった調理法で、その際に注意したい点はオイルがどの温度で変質し始めるか、つまり何度までの使用に耐えられるかが重要になってきます。いわゆる「臨界温度」です。その臨界温度はそれぞれのオイルで異なるということがポイントととなります。

例えば

  • 落花生オイルは220℃
  • オリーブオイルは210℃
  • ココナッツオイルは200℃
  • コーン油やごま油、ひまわり油などの多くのサラダ油は140℃から170℃

という具合です。

ですので、臨界温度が高ければそれだけ揚げ物や炒め物に向いていることになります。そしてエゴマ油やアマニオイルは熱に弱いため、そのままドレッシングのように直接サラダにかけたりして使うのに適していることになります。

以上がトランス脂肪酸対策の基本となります。

飽和脂肪酸不飽和脂肪酸?オメガ?

それならトランス脂肪酸だけ気にすれば健康的といえるのかというとそうでもありません。先程、脂質をバランスよく摂ることが重要と書きましたが、油はその種類によって体内での働きが全く異なります。そして大きく取り上げられるのがオメガ3とオメガ6という種類のオイルです。前者の代表格としてアマニオイル、後者はコーン油や菜種油といった一般的なサラダ油です。それらは細胞膜に張りを与えたり、弾力を与えるといったように逆の作用をします。従ってどちらかが良くてどちらかが悪いというものではなく、両方必要なのです。オメガ3を1に対しオメガ6を2~4の比率で摂取するのが良しとされています。それではもう少し詳しく見るために、その種類分けから始めてみましょう。

飽和脂肪酸VS.不飽和脂肪酸

大分類として、まずはこの二つに分かれます。脂肪酸とはオイルの成分の一つで炭素と水素と酸素(炭化水素)から成り立っています。「飽和」という言葉は脂肪酸を構成している炭化水素の鎖に水素が入る余地がない、つまり水素が飽和していることを指します。逆に「不飽和」とはまだ水素の穴があることを表しています。

飽和脂肪酸の特徴

  • 常温で固形
  • 人間の体内で合成可
  • 固まりやすい、酸化しにくい⇒熱い料理向き
  • 牛、豚、鶏(恒温動物)といった動物性油脂に多く含まれる
  • 植物性油脂ではココナッツオイルに多く含まれる


不飽和脂肪酸の特徴

  • 常温で液体
  • 人間の体内で合成できるものとできないものがある(以下参照)
不飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸VS.多価不飽和脂肪酸

次に不飽和脂肪酸の中にも一価と多価の脂肪酸に分けられます。一価とは炭化水素の鎖の中に水素の穴が1箇所あるもの(2重結合が1箇所)、そして2か所以上の水素の穴があるものを多価と呼びます。

■一価不飽和脂肪酸(オメガ9)の特徴

■多価不飽和脂肪酸の特徴

  • 必須脂肪酸(人間の体内で合成不可)
多価不飽和脂肪酸:オメガ6VS.オメガ3

ここで出て来るオメガの番号は脂肪酸を構成している炭化水素の鎖の末端から何番目に水素の穴があるかを表しています。つまりオメガ9は端から9番目に穴があり(9番目と10番目が二重結合)、オメガ6は6番目に、また9番目にも穴があることを指しています。同様にオメガ3は3番目、6番目、9番目に穴があることを表しています。

■オメガ6

オメガ6のオイルには概して次のような特徴があります。

  • 栄養分を排除、精製度が高い、長期保存可能、⇒体に良い成分は残っていない
  • 高温で抽出されている⇒トランス脂肪酸に変容していることもある
  • 炎症作用:菌の侵入を防ぐ⇒アレルギー、糖尿病、がんを引き起こす
  • 凝固作用:止血作用⇒心筋梗塞脳梗塞を引き起こす
  • 代表的なオイル:サラダ油、菜種、紅花、ひまわり、とうもろこし、大豆、米、綿実、グレープシード、ごま(温帯地方の植物)

■オメガ3

オメガ3のオイルには概して次のような特徴があります。

  • 固まりにくい、酸化しやすい⇒冷たい料理向き
  • 魚(変温動物)に多く含まれる
  • オメガ6オイルの炎症作用と凝固作用を打ち消す作用がある。
  • 熱で酸化しやすいため、多くの製造には低温圧搾した(コールドプレス)で抽出される。
  • ラン藻類にも含まれるので、これらを食べている青魚もよい。深海で生息する白身魚や養殖の魚には含まれていない。
  • 牧草にも含まれている。牛肉を食べるなら牧草を食べて育った牛の肉がよい。通常の牛は、遺伝子組み換えの大豆、とうもろこし、成長ホルモンや抗生物質を打ってそだてられている(グレインフェッド)ので、避けること。グラスフェッドの牛肉、羊肉か平飼いの鶏。動物性食品には食物繊維が含まれていないため、悪玉菌が繁殖して大腸がんになりやすいので、たくさんの野菜と一緒に食べる。
  • 代表的なオイル:エゴマ油、アマニ油、カメリナオイル、サチャインチオイル(寒帯地方の植物)

まとめ:上記の特徴から言えること(自分なりの「よい」の定義)

動物性油脂のバターは常温では固形の「飽和脂肪酸」です。それに対応する植物性の「飽和脂肪酸」はココナッツオイルとなります。どちらも飽和脂肪酸であることから、体内に入った際に固形化しやすいことになります。つまりそれが血管の中であると動脈硬化を引き起こすと考えられるわけです。ところがココナッツオイルは、エネルギー化しやすいという特徴があります。それは体内に取り込まれても燃焼してなくなりやすいということ。そういう意味で蓄積されにくく「体に良い」とされるわけです。ただ、この飽和脂肪酸は人間の体内でも合成されるので、積極的に摂取する必要はないのです。

次にオリーブオイルは植物性オイルの中でも熱に強い(臨界温度が210℃)ということから、加熱しても体に不要かつ悪影響を及ぼすトランス脂肪酸が発生しにくいオイルという点で「体に良い」とされるわけです。念のために言及しておくと、揚げ物や炒め物などの加熱料理をする際にオメガ6やオメガ3のオイルを使用するとトランス脂肪酸が確実に生成されるのです。

そしてオメガ3(アマニオイル等)とオメガ6のオイル(サラダ油)についてはいずれも必須脂肪酸であり、人間の体には必要な栄養素であり体内で合成できません。従って食事から摂取することになるのですが、オメガ6のオイルは様々な食品に使用されています。意識しなくても無意識のうちに見えないオメガ6を摂取しているということから、現代人はオメガ6過多になっていると言われています。逆にオメガ3の摂取量は非常に少なくそれらの比率は10:1もしくはそれ以上にオメガ6を多く摂取していると言われています。そのためオメガ3のオイルは積極的に摂った方がいいと言われますが、オメガ6の量を減らさずにオメガ3を摂ると脂肪過多になるので、オメガ6のオイルをオメガ3のオイルに置き換えることが推奨されているわけです。そんなオメガ3の代表的なオイルが亜麻仁油なのです。

そういうわけで、オイルはそれぞれの種類をバランスよく必要な量を摂る必要があるわけです。そのベストなバランスと量が今の食生活とどれだけかけ離れているかを知り、ベストな状態に持って行くことが大切ですが、自分の現状を知ることもとても難しいのも確かです。というのも上述のようにオイルは自分が添加していないと思っても既に既製食品に添加されていることが多いからです。その最も多い、というより圧倒的に多いと言われているのがオメガ6タイプのオイルです。ということでせめてオメガ6の添加を控えて、オメガ3を使いましょうということになるわけです。
また困ったことに、オイルの体積がそのまま脂肪酸の量となるわけではないのもまたこの問題を複雑にしている要因の一つです。そういった意味で、自分に対するオイルの適量を知るには厳密にはもっと調べる必要があることは多いのですが、基本的にはこういったことを各自気にして、自炊のためのオイル選びや外食の仕方に意識を向けて行けば、他の国で規制が進んで行くように、だんだんとシェアされる情報は多くなっていくのではないかと思います。
今回この記事を書く上でネット上の情報の他に下記書籍を主に参照しましたが、他にもオイルについての書籍はたくさんあるので、読んでみたいと思います。 

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