雑食思想の溜め池

生活していれば自然と湧き出て来る思いの数々。ここは、ぼくの中でゲシュタルト形成や拡張へ向けて流れ着いた、様々な興味の源泉からの思想が集う場所である・・・。と意気込んで始めたものの、だんだんとその色が薄くなってきました。

二つにお分けしてお入れしましょうか?

昨日のナゾに続いて、
次は口一ンソ(仮名)です。
PCから申し込んだイベントのチケットを受け取りに、
まずSloppy(あくまでも仮名)という受付端末(ATMのような機械) で
受け付けを済ませ、端末から吐出されるスリップをちぎり取って
それをレジに持っていき、
代金の支払いと引き換えにチケットを受け取る
という一連のやり取りの中での出来事です。

ぼくが申し込んだのは淀川花火大会のチケット3枚でした。
先ほどの端末での受付の信号がレジ後方のプリンターに送られ、
チケットの用紙に文字が印刷されてチケットになるわけです。
レジ係はそのチケットをカウンターに2枚並べて置くとぼくに見せて
「こちらで間違いないでしょうか」と確認してくれました。
一枚の用紙にチケットが1枚、もう一枚の用紙にチケットが2枚。
そしてチケットに混ざって広告も印刷されていました。
一見どれがチケットでどれが広告か分かりにくかったんで、
確認しました。
「これらがチケットですよね」と、
チケットだと思えるところを指差しました
「はいそうです」
その後、そのレジ嬢は年配のレジ姉を招くと、そっと
「お店の控えはこれ一枚ですよね」
と確認しています。
よく見ると、確かに用紙の1枚にお店用の控えが付いていました。
レジ姉は
「そうよ。それであとのはお客様に言われた通りに包んであげて」
と言っているではないですか。
ん…?
始まりました。謎解きです。
(おれは何もお願いしてないぞ?
それともこれからお願いする展開になるのか?)
それを聞いたレジ嬢は
「はい」(ここは普通のトーン)
と何の疑問も持っていないふうに答えています。
ぼくは、次にこのレジ嬢になんという言葉をかけられるのだろうか?
と興味津々でした。

口一ンソ姫の作業は着々と進められていく。
彼女はお店用の控えを切り取ります。
そしてチケットを畳みます。
彼女の手の動きをさりげなく注視しながら
徐々に近づくその時がいつか、と生唾をゴクリ…
チケット入れの封筒を手に取ると、口が開きます。さて何を言う!

その時、耳にレジ姫の声が届きました。
 「では、こちらのチケット、
二つにお分けしてお入れしましょうか?」

(What?!)

どういうご提案でござんしょうか?

もしくは、ご親切のつもりなんでござんしょうか。

その意図を汲みとるためにぼくは一瞬フリーズして、
即座にぼくの脳みそはフル回転をはじめます。

3枚のチケットが、2枚と1枚の用紙に
それぞれ印刷されているのです。
これをなぜ分けて包もうとしたのだろうか?
3つを全て切り離して包むなら、
まだ分からないでもないけど。

脳内検索結果401(Not found)

「いやいやいや、別に…、
あの全部まとめてくれて構いません」
自分が悪いわけでもバツが悪いわけでもないので
大して焦る必要もなかったのですが、
軽いパニックを起こして異様に慌てたように
答えてしまいました。
反対にそのレジ嬢は涼しい顔をして笑顔でチケットを
一つの封筒に入れ渡してくれました。

そのレジ嬢は、レジ姉に
「お客様に言われた通りに包んで」
と言われたときに、
「一体私は何をしたらいいのだろう?」
とか思わなかったのだろうか。

本当は―
わたしー、とっさにそう思ったけどもー、
お客さんの前でそんな問答をしていたら
頼りなく思われてしまうッ!
姉さんに「あんた忘れたの!減給するわよ!」
と言われてしまうかもッ!
いや、もしかしたら読み飛ばしたマニュアル
の15ページに書いてあったのかもッ!
思い出せ!
思い出すのよ!私!
いやそんな時間はない。
もうこの手がチケットを畳み終えてしまう!
数秒のうちに自力で何か考えなきゃッ!・・・

とでもいう葛藤があって、
頭がオーバーヒートしているにもかかわらず、

あ!そうだマニュアルにあったわ!
「第3章 顧客対応の基本:
何事があっても、慌てず、いつも笑顔を忘れずに」。
そうだ別に世界の終わりじゃない。
ちょっとした恥をかくだけだわ!

と即座に自分に言い聞かせ、冷静さを取り戻すまでわずか0.2秒。
そして咄嗟にほぼ自動的に口をついて出てきた言葉が、
「二つに分けてお入れしましょうか?」
ああ、トンチンカンなことを訊いてしまった…

ということなのでしょうか。
多少トンチンカンであっても、何があっても慌てずに、
お客さまにはいつも笑顔を。
それが一番大切なのだと教えられているのでしょうか。
まあ、マニュアルがどうなっているかは知る由もありません。

ただ、ぼくらお客側のマニュアルとしては
「付則:コンビニの店員に細かいことを期待してはいけません。
言葉のキャッチボールをしようとしてはいけません。
また、そのような応答があっても心を乱してはいけません。」
を付け加えておくことをお勧めします。

注:コンビニ店員でもしっかりされた方はいらっしゃいます。
ただ瞬間的に見分けがつかないことが多いので、
こういう心構えでいる方が身のためであるという
個人的意見であることを最後に記しておきます。
 
後で冷静になったら思いついたのですが、
「二つに分けてお入れしましょうか」の後
「はい、お願いします」
と言えばよかったんですよね。
そうすれば何をどうするオファーだったのか
分かったはずです。

いやあ、自分の未熟さに悔しくなってきました。
やっぱ、不自然に身構えてしまったせいもあり、
受け身がしっかり取れず、一人でジタバタして、
顔面から地面に叩きつけられたようなもんです。
3枚のチケットを2つに分ける理由…。
どなたか、このレジ姫の思考を説明していただける方
いないでしょうか。