雑食思想の溜め池

生活していれば自然と湧き出て来る思いの数々。ここは、ぼくの中でゲシュタルト形成や拡張へ向けて流れ着いた、様々な興味の源泉からの思想が集う場所である。

宅内検疫所ーといっても要は単なる箱

さて前回の投稿の経緯で我が家の「厚生労働省」から検疫箱の製作依頼が入り、案を練り始めました。ぼくの工作はだいたいが「自由に作りましょう」ではなく、いろいろと制限があります。といっても自分で勝手につけている制限ですが。まずは廃材を利用すること。そしてできるだけ安く仕上げることです。これはお金をかけて作るんだったら市販のものでもいい場合があるというのが大きな理由です。廃材に関しては、できるだけ安く仕上げることにつながるもので、材料費をできるだけかけないのは当然のことだけれども、根底にはもったいない精神があります。特に今回は、先日ダイニングテーブルを椅子からリメークした際に分解したある程度まとまったサイズの木材がかなり保管スペースを占めて余っているということが大きいです。

そこで主要部材をもともとテーブルに使っていた家具の廃材を部材にしてできないか?大まかな寸法が既に揃っているわけです。とりあえず大まかな寸法として、それを玄関の寸法に照らし合わせたらちょうどいいということになり、その方向で組み合わせるように考えを進めました。

そんな制限の中で検疫箱が玄関で占有するスペースをどのくらいにするか、そして廃材のサイズを鑑みてデザインを決めます。はっきり言ってそこには外見のクリエイティブさはほとんどありません。実用性重視。ただし今回は玄関に置くということで、ある程度人の目に触れることが想定されるため、あまりにも汚らしい部材や穴だらけの木材とかは使いたくない。厚労省はぼくよりも外見については気にするはずなので、構想ができたら厚労省に「プレゼン」します。それはいいとして、デザイン製作時に考えていることは主に、

  • 如何に追加で購入する部材を少なくし
  • 切断の長さをできるだけ短くする

ということです。

切断の長さを短くするということは、長いと単に疲れるからです。過去に小型電動ジグソーを持っていた時期もありましたが、いつしか使わなくなってしまいました。理由は

  • 音がうるさい(切断しているときに限らずモーター音が凄い)
  • 思ったほど断面がきれいでなく
  • まっすぐに切りにくい

からです。手動でのこぎりで切る方がよっぽどきれいに切れるのです。円盤の電動ノコギリならいいのでしょうが、おが屑がかなり飛び散るため工房のような作業専用スペースが必要だし、そんなに大きなものを切る機会も少ない。そういう意味で今は室内でも作業できるよう普通の手引きのノコギリを使っています。いつしかまっすぐに切ることはかなり上達してきました。しかし、厚みのある部材を垂直に切ることが難しい。切り込みをいれるところから気にしていてもなぜか僅かに傾いてしまう。つまり切断面の表面と裏面で寸法が微妙に変わってしまう。そこに気を付けながら切断するのにあまり長い寸法を切りたくないという潜在的な思いがあります。といってる時点で苦手意識が働いてますね。

そんなことを考えつくして滅多に描かない設計図を書いてみました。それがこれです。

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書かれている紙を見てください。ここにも貧乏性が表れてますね。裏紙ですよ。さらに部分的に切り取られています。どんだけ貧乏なんでしょう。いやエコだと言ってほしいですね。やはり図面を描くのは正解でしたね。最初は単なるスケッチのつもりだったのでこういう紙でだいたいのイメージだけでいいかと思っていたら、頭の中では行けると思っていたことが、紙に書いて具現化されようとした瞬間次々と頓挫していきました。そんなわけで徐々に詳しい図面になって、ついにはこれが設計図みたいになってしまったというわけです。

一番困ったのが蓋です。底面と同じサイズの部材はたくさんあるのですが、蓋にはそれよりもほんの少しだけ大きなものが必要となります。

そこで思いついたのが、細い木材を並べて板状にするという案。IKEAのアウトレットセクションで100円で買ったもので用途は決まってない部材があるのです。それがこれ。

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ベッドの部材で均一にわずかに反った短冊形の板が強力なリボンでつながったもので、アウトレットでしたがきれいだったし、何かに使えると思って買っておいのです。それを使うことにしました。たくさん切ることになりますが仕方がない。まだ一本の長い切断ではないので、気持ち的には楽でしたね。ぼくの頭ではこれ以上のアイデアは出ないし。

ということで揃えた部材はこんな感じ。

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廃材と言っても今回のは分解したものが主なものなので比較的きれいですね。写真左の白い長細い木材は、以前もともとこの長さが長辺のテーブルをこの部分だけ切り落とした端材です。こういう長い木材を切り出すのは本当に骨が折れます。やはり断面が若干傾いていますが、今回はその断面を使わないので大丈夫ということで使用することにしました。そして右上端にあるのが、前の写真の木材を切って準備した蓋になる木材です。蓋に関する詳細な設計図はついに描けませんでした。出たとこ勝負の製作ですが、基本的にはいつもそんな感じです。

そして蓋のヒンジ(上の写真右下)はこれも同じくIKEAで買った靴入れだったかな?チェストのようなものの扉に使われていたスライドヒンジを使うことにしました。これですね。

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このチェストは2つで1セットだったように思いますが、奥行きが30センチぐらいのもので、本来横に並べたり上下に重ねたりして使うことを想定されたものです。それをうちでは押し入れにはめ込むために買ったので、奥行きを出すために前後に並べて使っています。つまり扉や背板はそれぞれ一つしか必要ないので、それらが1セット余ったわけです。そのヒンジを使うことにしました。扉の部材はうちの中の何かにすでに変身しているはずです。

さて、これで厚生労働省にデザインを申請、納期もだいたいのところ伝え承認が下りたので製作開始です。

だいたいこんなところですが、実際のところ蓋と本体の接合部分やかみ合わせがどうなるか具体的には決めかねていました。というのも、蓋の短冊木材を15枚使うのですがその長さが数ミリ箱の開口部と合わないからです。箱は大と小の口に分かれています。それは木材の寸法上譲れません。しかし納期も迫ってきているのでそこで作りながら考えようと思いました。

まずは本体です。この作品の体積のほとんどを占める部分ですが、それほど時間はかかりません。下の写真は本体を後ろから見たところです。

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 あれ、背板の丈が短くない?そうです。ここは仕方がない。ちょうどよい材料がなかったのです。でも後ろなので見えない。そしてこのように開いている方が熱がこもらなくていいんじゃないかということで無理に材料を継ぎ足すほどでもないという話は厚労省へのプレゼン時に説明してありましたので、問題ありません。

そして問題の蓋ですよ。蓋の設計図が書けなかった理由はヒンジにあります。スライドヒンジは普通にパタパタと折れ曲がるヒンジと違って立体的な動きをするものなので、その動きを計算に入れることがぼくにはできなかったのです。実物大の部分模型を作って可動域などを確認しながら固定する位置などを決めていきました。一つ一つ寸法を確認しながらまずは大口の方だけ、こんな具合になりました。

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そこに背板側の連結板と合わせ、さらに小口の蓋を足します。小口の方のヒンジに関しては、蓋が小さいので不釣り合いかと思い普通のヒンジを使いましたが、同じのでもよかったかもですね。今後使いにくいようであれば付け替えます。アフターケアも無条件で付帯しています。

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よく見ていただくとわかりますが、蓋の数ミリ足りないところは横に縁を付けたような形に木材を追加しています。小口の方はないところがちょっとした妥協点です。

本体に蓋を取り付けた成果物はこのとおり。スケッチの角度からみた写真がこれですね。

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そして、中を覗くとこれ。

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以上、今回の製作にかかった金額はいくらでしょうか?

なんと!

0円!

やりましたよ。かかったとしたらデザイン料と工賃ですね。

新しいものを何か作るといくら小さくても何かしら買い足す必要がありますが、今回は基本的には直方体の箱で、とにかくうちにあるもので何とかなるんならそれでよいという方針だったので材料費0円製作となりました。新しい道具も買う必要ありませんでした。

無事、我が家の厚生労働省への納品を済ませました。

出来上がったものを見て、大臣は前面の板に少し不満があったようです。そりゃぼくもそう思いますよ。前面の板をどうしようか、相当悩みました。何枚かを繋げようか。でもそうするとやはり継ぎはぎ感が出て外観が相当損なわれるうえ、一枚モノでないと強度的にも好ましくないものになると思います。大臣は背板に使っている板を使うと思っていたらしく、そこがに唯一不満があるようでした。それなら得意の壁紙を貼ったら?と提案しました。今現在持ち合わせがないようなのでこれを完成形としますが、おそらくそのうち100均あたりで買ってくるんじゃないでしょうか。そこから先は大臣のセンスに任せます。

検疫箱が設置されれば帰宅時のストレスもだいぶ軽減されるはずなのでその効果を実感するのが楽しみですね。