ある朝方、まだ寝ているときです。
正直なところ、ぼくはめったにfacebookを使いません。facebookでしか繋がっていない人とはたまーにやり取りがあるぐらいですかね。
そのメッセンジャーの通知が届いたんです。
2行程の通知を見ると、アメリカのちょっと年の離れた友人の名前で、「亡くなった人を見てみましょう」と書かれていました。
アメリカに住んでいた時、彼とは一時期、家だけではなく車もシェアさせてもらっていたりしてとてもお世話になった友人でした。
あまり食生活がいいとも言えず、一度尿管結石か何かで病院に運び込まれたりしたことや、ヘリコプターのパイロットの免許を取ったりしていたので、一瞬、寝ぼけた頭では彼の訃報だと思ってしまったんです。
だいたい、誰が送るっていうのか。まさか、facebookがそんなもん送るわけないとは思いつつもスローな頭では状況をのみ込めなかったのです。
恐る恐るメッセンジャーを開いてみてみると、送信者が彼で、「この事故で亡くなった人を見てみましょう」というメッセージとともに何かのリンクが続いていました。
通知が英文で、文章の頭の部分だけが見えていたため、誤解してしまったのです。
そこで、ちょっと怪しさを感じつつも、もしかしたら共通の誰かが事故に遭遇したかもしれない。そしてそれが日本語だから彼には読めないという筋書きを完成させると、リンクをタップました。
そしたら、それが嘘のメッセージだったんですね。
バーン!
「30何個のウイルスに感染しました。ウイルスをスキャンするためにはこちらをインストールしてください」という主旨の画面が出てきました。
このメッセージを見た時にはもう覚醒していたので、これはフィッシングだとわかってすぐに閉じたんですが、そうなるとその友人はメッセンジャーを乗っ取られたのではないかと思いました。
そうこうしていると、彼からメッセージが届きました。
「ゴメン。オレはそのメッセージを送っていない」
おー、だいぶ怪しくなってきました。
「オレ」は本人か?
さて、これはどういうことだ?
10年ぐらい前に職場の高齢の従業員の一人が、いきなり部屋に入ってきて「ちょっとこれどういうことかわかる?これやったのおれじゃないよ!」とスマホに自分のfacebookアカウントを表示して見せてきたときのことを思い出しました。
そのとき同じ部屋にいた若い衆がその画面を見て、すぐに何が起きたか悟って、いろいろ手を打ったように記憶していますが、その従業員のfacebookは誰かに乗っ取られて、自分のアカウントから自分の「友達」にわいせつな写真をばら撒かれていたようなんです。
どうやら「友達」から連絡がきて分かったようなのですが、つまりはそういうことが実際にあり得るんだなあと知ったのでした。
さて、それで今回問題なのは、最後の一文
「ゴメン。オレはそのメッセージを送っていない」
と書いたのは本当にぼくの友人なのか、乗っ取り魔なのかということでした。
ぼくは、最初の「亡くなった人を見てみよう」のメッセージの口調や、その後にムンクの叫びのようなゾゾッという顔のアイコン3連チャンされていたところが、彼らしくないと思ったので、それは彼が送ったのではないということは間違いないと思いましたが、それを送ってないというメッセージまでは判断が付きませんでした。
ただ、ぶっきらぼうな書き方や、あまり言い訳がましくないところから本人だとは思いました。
そこで、一度、
「何が起きたのか説明してくれる?」
と、返信しました。
そしたら
「できない。でもハッキングされたっぽい。笑」
という返事。
そういう状況でよく笑ってられるなとは思ったけれど、彼はかなりの楽天家なので、それは考えられました。
そこから、ちょっと話題を変えて、彼とぼくにしか知りようがないと思われる内容に誘導して、ところどころにカマをかけてみました。
「ところであのよく貸してくれてたXXX(色)のYYY(メーカー)の車どうした?」
「とっくの昔に売ったよ」
あ、ちょっと怪しいぞ、ほんとはAAAのBBBなんだよな。
まあ、でも彼はそういうディーテールにこだわらないで話すからまだわからない。
でも、もしも立場が逆だったら、あんだけ使ってたのにそこ間違えるか?と突っ込みをいれると思いますが、そこをスルーできるほど寛大なんです。
そこで、
「あ、あれってLLLのMMMだったっけ?」
と、とぼけながら聞きました。
そしたら、さすがに
「ちがうよ。AAAのBBBだよ」
って返ってきたんですね。
それで彼は本物だとわかったので、
「ごめんごめん。ちょっと本物かどうか確認したかったんだ」
と言って、さらに彼の寛大さややさしさなど忘れるわけなくいつも感謝していると言う会話をして事なきを得たのですが、数日後また同じ文面でメッセージが送られてきました。
一度リンクにアクセスしてしまったから脈ありと思われているのかもしれませんね。
今度は自分がハッキングされたり乗っ取られないよう気を付けないといけないなとおもっているところです。